竣工年 2021年1月
所在地 神奈川県藤沢市
用途 専用住宅
延床 78㎡
施工 株式会社with design、mogcraft
撮影 Hideyuki Akata
工事費 750~1000万円(設計費除く)
築60年のマンションリノベーション。本マンションは湘南エリアのリゾートマンションとして昭和30年台 に日建設計により設計され、長い歴史を通して地域のランドマークにもなった集合住宅であり、設備関係の配管の更新も行われ100年住むことを目指しているマンションであった。
そのような建物の歴史に敬意を払い、内部においてもその歴史を支えてきた建物を感じられる空間を作れないかと考えた。しかし、内部仕上げは60年を経て劣化やシミやカビがあり残すことは難しく、また間取りもライフスタイルに合わせたものに変更となるため、戸建ての古民家のようにはいかず言葉で言うほど簡単な作業では無かった。
そこで試みたことは既存のプランがメゾネットでありその特徴を生かすこと、そして仕上げ方についてである。
一つ目に、既存の特徴として簡易メゾネットというべき、下階に玄関、上階に住居スペースがあり上階は南北にテラスが付属する珍しい間取りであった。この建築的特徴を生かし、まずは海側=南側を改修前はLDと和室に分かれていたがLDKの大きな一室空間とし、キッチンもL型とI型を組み合わせ、2方向からキッチンにアクセスでき家族みんなで料理が作れるようにした。一方北側は階段が幅広であったため、本棚を造り付け階段ライブラリーとした。しかし南側のLDKと北側居室に挟まれ暗くなりがちな階段ライブラリーのため北側の居室の間仕切り壁はガラス壁とし、階段の吹抜を介し下階まで自然光を導き、さらに視覚的な空間の広がりを感じさせる効果も狙っている。
二つ目に仕上げ方について、新しい仕上げを施しつつも完全に仕上げずどこか一つだけ既存残し露出させることとした。LDKは既存天井板のみ剥がし、スチールの井桁状の下地材を意匠として見せつつ照明用レールの下地としたり、床や壁の一部を仕上げずコンクリートや接着剤の塗後をアクセントとして見せたりといった具合である。
今回のプロジェクトにあたり、今どきのSNSであふれるようなインテリアのテイストではなく、大事に住み継がれた古民家のリノベーションという意識でおこった。出来上がった住宅は新しくもどこか大事に住み継がれた古民家の様な懐かしさを持つ空間となり、結果的に既存下地等も多く再利用することで予算の削減にもつながった。